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2006年 10月 27日
ちょっと前のことになるが、思い出しエントリー。
今更ではあるが一体ワタシは夏の間、シアトルの会社で何をしていたのか? 美味しい食べ物をたくさん食べて太りに行ったわけでも、毎週末楽しくお外で遊んで 真っ黒になっちゃうようなストレスフリーな夏の3ヶ月を過ごしにいったわけでもない。 (見逃せないポイントではあるのだが・・・) 実は、Diversity Strategy というチームでお仕事させてもらっていたのである。 Diversity って日本ではまだまだ馴染みのない言葉ではあるが 要は「人種、年齢、性別、教育的バックグラウンド、コミュニケーションスタイル等 人には色んな異なる属性があるけど、そういった違いをちゃんと理解した上で 新しい何かを作り上げたり、時代にそったビジネスができるように戦略を立てて行こうぜ」 っていう概念なのである。 この Diversity、今アメリカの労働環境を考える上で 最もホットなトピックだったりする。どの会社のサイトでも、ビジネススクールのサイトでも Diversity についての記述があるくらい、アツいらしい。 もともとは10数年前に主に黒人(African American)の雇用機会均等を 促進する為に始まった取り組みで、会社がマイノリティーの人種に雇用差別で 訴えられない為にとった対策というのが始まり。 つまるところ Legal Compliance (法律遵守)が主な目的だったわけである。 ところが、最近ではその段階からはかなり進み、多様化するマーケットに会社(ビジネス)は どうやって対応していくか?というようなもう少し積極的な取り組みになってきた。 つまり採用活動のみではなく、製品開発やマーケティング、 ビジネス戦略企画なんかにも密接に関わるのだ。 面白い例がある。 とある会社がある画期的なバンドエイドを開発した。 その名も「肌色バンドエイド」。 コンセプトは「肌と同じ色のバンドエイドなので、 付けていても誰にも気付かれない優れもの」。 ところがところが、この会社は大きな失敗をし、慌ててこの製品を回収することになった。 その失敗とは「バンドエイドの色がたった一色しかなかった」ということ。 つまり、白人の肌の色しか想定しておらず、黒人さんがこのバンドエイドを貼ると 目立ちまくりで、とてもじゃないけど「肌色バンドエイド」と呼べる代物ではなかったのだ。 これは、アメリカの人種構成を考慮した製品開発がなされていなかった結果であり Diversity にはとってもオイシイ?失敗談となっているとのこと。 こんな感じでDiversity Strategy とビジネスのつながり については 少し理解していただけただろうか? 最近のトレンドでは、この Diversity Strategy のチームを HR(人事)の組織から外に出し、経営企画をやっているような組織の下にぶらさげる 会社が増えてきているとのこと。 そんなところで、ワタシのようなアジア人女子(って歳でももうないが)が何をしてたのか? そもそもなんでそんなところに希望を出してまで入れてもらったのか?? 簡単に言うと、Diversity の概念を日本にも根付かせたいなと思ったのがきっかけ。 日本ではまだまだ女性の活用とか、女性の労働環境向上とか、そのあたりで たくさん問題があるのが現状だけれども、困っているのは女性だけではないし、 男性だってたくさん困っているはず。 上司の考える「デキる部下像」に当てはまらなければ 組織の中で能力を認められなかったり、特に上昇志向がなくてもある程度の 年齢に達しただけでマネージャーとしてのキャリアを考えないと自分の居場所が なくなってしまったり、多様化するニーズに会社がついていけてないんじゃない?と 思ったのがきっかけで、色々と調べているうちにこのDiversity Strategy に 行き着いてしまったのだ。 あとは、日本のモノづくりに対する底力ってすごいけど、 もしDiversity がきちんと日本に根付いて、働く環境が変わってきて それがモノづくりにも活かされてきたらもっとおもしろいことになるんだろうなと 思っちゃったりしちゃったわけである。 で、夏の間にアメリカのDiversity の最前線で働かせてもらい、願わくば 卒業後もそこでしばらく修行をさせてもらい、最終的には日本にその概念を 広めたいというワタシのアツい想いを悪夢のような面接でどうにかこうにか 嫌な汗かきながら伝えたところ、それを受け止めてくれる会社があったというわけ。 いやぁ、良い話ではないですか?(←自分で言うな) まぁそんなわけで夏の間は 「IT 業界のDiversity のベストプラクティスについて特捜せよ!」 というミッションのもとサマーインターンの12週間を過ごさせていただいたのだった。 実はこのエントリー、本来書こうとしていた話の前置きとして書いていたのだが あまりにも長くなってしまったので、別エントリーとして独立させてみた。 というわけで、次回に続く。 (中間試験真っ最中ではあるが、この週末中に続けて更新する。予定。きっと。)
by yumringo
| 2006-10-27 19:09
| サマーインターンな日々
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